「飲食業界は給料が低い」というイメージがありますが、インバウンド需要の回復や人手不足を背景に、今、飲食業界は「稼げる」業界へと変貌しつつあります。
本記事では、表面的な平均年収ランキングでは見えない「現場のリアルな手取り」を社会保険労務士の視点で分析。
さらに、寿司職人や海外就職など、戦略的に年収1000万円を目指すための具体的なキャリアパスを、キャリア理論の観点から解説します。
自身の市場価値を最大化する羅針盤としてご活用ください。
- 【企業別】上場外食企業の最新平均年収ランキングと、数字の裏にある「HDの罠」
- 【職種別】寿司、フレンチ、イタリアン…稼げる料理ジャンルとその理由
- 飲食業界特有の給与構造と、生涯賃金を最大化する「場所選び」の鉄則
- 「海外出稼ぎ」「インバウンド特化」「大手管理職」など、年収1000万への具体策
- 未経験からホワイト企業に入社するための求人票の見方と面接対策
1.【企業別】飲食業界・平均年収ランキングTOP10
上場外食企業の有価証券報告書に基づく最新の平均年収ランキングをご紹介します。
ここで重要なのは、単なる金額の比較ではなく、「なぜ高いのか」「誰の給料なのか」という背景を読み解くことです。
数字の裏にあるカラクリを理解し、自身の企業選びやキャリア戦略における判断材料として活用しましょう。
外食産業 年収ランキング(有価証券報告書ベース)
以下の表は、主要な外食企業の平均年収をまとめたものです。
トップクラスの企業では平均年収が700万円を超えており、一般的な「飲食=低賃金」というイメージとはかけ離れた高水準であることが分かります。
| 企業名(主なブランド) | 平均年収 | 平均年齢 | 備考・特徴 |
|---|---|---|---|
| (株)FOOD & LIFE COMPANIES (スシロー、京樽など) | 約893万円 | 約41歳 | 持株会社。海外展開が好調で業績拡大中。 |
| (株)ゼンショーホールディングス (すき家、はま寿司など) | 約817万円 | 約40歳 | 持株会社。売上高・店舗数ともに業界トップクラス。 |
| (株)トリドールホールディングス (丸亀製麺) | 約812万円 | 約41歳 | 持株会社。海外事業への投資を加速。 |
| ロイヤルホールディングス(株) (ロイヤルホスト、天丼てんや) | 約765万円 | 約47歳 | 機内食やホテル事業も手掛ける多角化企業。 |
| (株)吉野家ホールディングス | 約738万円 | 約48歳 | 老舗牛丼チェーンの持株会社。 |
| 日本KFCホールディングス(株) (ケンタッキーフライドチキン) | 約730万円 | 約45歳 | フランチャイズビジネスが主体で収益性が高い。 |
| (株)サイゼリヤ | 約700万円 | 約40歳 | 徹底した効率化と製造直販モデルで高収益。 |
| (株)松屋フーズホールディングス (松屋) | 約674万円 | 約48歳 | 持株会社。若手の登用に積極的な傾向。 |
| (株)コロワイド (牛角、大戸屋など) | 約654万円 | 約44歳 | M&Aによる事業拡大を推進する巨大グループ。 |
| (株)モスフードサービス (モスバーガー) | 約641万円 | 約40歳 | フランチャイズ本部としての機能が強い。 |
※各社の有価証券報告書等に基づく推計値を含みます。年度により変動があるため、あくまで目安です。
※「ホールディングス(HD)」とある企業は、主に持株会社所属の従業員の平均年収であり、店舗勤務の現場社員とは給与体系が異なる場合があります。
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES

「スシロー」を中核に「京樽」「回転寿司居酒屋 杉玉」などを展開する、回転寿司業界最大手の持株会社です。
グループ全体の経営戦略策定をはじめ、積極的な海外展開や、AI・自動化システムを活用した店舗運営のDX(デジタルトランスフォーメーション)を主導しています。
年収が高い理由は、同社が純粋持株会社であり、従業員がグループ経営を担う少数の管理職や専門職のみで構成されているためです。
多くの店舗スタッフやアルバイトは事業子会社(あきんどスシロー等)に所属しており、持株会社単体の平均年収算出には含まれないため、統計上の数値が外食産業の中でも突出して高い水準となります。
参考|(株)FOOD & LIFE COMPANIES|有価証券報告書
株式会社ゼンショーホールディングス

「すき家」「はま寿司」「ココス」などを展開する外食業界の最大手企業です。
原材料の調達から製造・物流・販売までを一貫して管理する「MMDシステム」を強みに、国内外で事業を拡大しています。
最新の決算では、海外のテイクアウト寿司事業を「グローバル中食」として独立させるなど、世界市場での成長も加速させています。
年収が高い主な理由は、同社がグループ全体の経営戦略や管理機能を担う「持株会社」であるためです。
現場スタッフの多い事業会社とは異なり、従業員の多くが管理職や専門職で構成されているため平均給与が高くなります。
また、好調な業績を背景に、13年連続でベースアップを実施するなど積極的な賃上げも行っています。
株式会社トリドールホールディングス

讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を筆頭に、「コナズ珈琲」やラーメンの「ずんどう屋」など多彩なブランドを国内外で展開するグローバルフードカンパニーです。
効率よりも「食の感動」を追求し、店内調理による「できたて」の提供にこだわっています。
平均年収が高い理由は、同社がグループ全体の経営管理を担う純粋持株会社であり、従業員が主に管理職や専門職で構成されているためです。
さらに近年は「心的資本経営」を掲げ、店長職でも最大年収2,000万円を目指せる新制度を導入するなど、人材価値の向上に積極的な投資を行っている点も特徴です。
ロイヤルホールディングス株式会社

「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」を展開する外食事業、「リッチモンドホテル」などのホテル事業、空港・高速道路等でのコントラクト事業、食品事業を統括する純粋持株会社です。
「食」と「ホスピタリティ」を軸に、質の高いサービスを提供しています。
年収が比較的高水準である理由は、同社が持株会社であり、従業員の多くがグループ全体の経営管理を担う経験豊富な管理職や専門職で構成されているためです。
現場スタッフが多い事業会社と比べて平均年齢が高く、少数精鋭の組織であることが背景にあります。
株式会社吉野家ホールディングス

牛丼の「吉野家」や讃岐うどんの「はなまる」などを展開する大手外食グループの持株会社です。
「うまい、やすい、はやい」を価値観とし、国内外で多様なブランドを運営しています。
グループ全体の経営戦略策定や経営資源の最適配分を担う純粋持株会社として、傘下の事業会社を統括しています。
近年は「飲食業の再定義」を掲げ、デジタル化の推進や外販事業の強化など、新たな市場創造に取り組んでいます。
年収が高い理由は、同社が「純粋持株会社」であり、従業員が主にグループ管理を行う経験豊富な管理職や専門職で構成されているためです。
現場スタッフが多い事業会社と比べて平均年齢が高く、給与水準も高くなる傾向にあります。
日本KFCホールディングス株式会社

「ケンタッキーフライドチキン」を国内展開するグループの持株会社です。
主な事業はグループ全体の経営戦略策定や資金管理、KFC事業のフランチャイズ統括です。
外食産業の中で年収が高めに出る主な理由は、同社が「純粋持株会社」だからです。
実際の店舗運営は子会社が担っており、ホールディングスの従業員は65名と非常に少なく、主に経験豊富な管理部門の社員で構成されているため、現場スタッフを多く抱える事業会社よりも平均給与が高くなる傾向にあります。
株式会社サイゼリヤ

「サイゼリヤ」は、イタリアンワイン&カフェレストランを国内外でチェーン展開する企業です。
最大の特徴は、食材の種や土壌の開発・生産から加工・配送・調理・提供までを自社グループで一貫して行う「製造直販業(SPA)」の仕組みを構築している点です。
これにより、徹底したコスト削減と品質管理を両立し、高品質な料理をリーズナブルな価格で提供し続けています。
国内に加え、中国やシンガポールなどアジア地域での店舗展開も積極的に進めています。
年収が比較的高水準である理由は、平均勤続年数が14.9年、平均年齢が40.5歳と、人材の定着率が高くベテラン社員が多いことが平均年収を押し上げていると考えられます。
株式会社松屋フーズホールディングス

株式会社松屋フーズホールディングスは、牛めし「松屋」、とんかつ「松のや」、カレー「マイカリー食堂」などを展開する大手外食チェーンの持株会社です。
生産・物流・調理・販売を自社で一貫して管理する体制を強みとし、国内だけでなく中国や台湾など海外展開も進めています。
外食産業ランキングで年収が高く出る主な理由は、同社がグループ経営を統括する「純粋持株会社」であるためです。
提出会社の従業員は21名と少数精鋭で、主に経験豊富な管理職や専門職で構成されており、平均勤続年数も20.0年と長いため、多くの店舗スタッフを抱える事業会社よりも平均給与が高くなる傾向にあります。
株式会社コロワイド

「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋ごはん処」など、多岐にわたる外食ブランドを傘下に持つ大手外食企業です。
積極的なM&A(合併・買収)により事業を拡大し、焼肉、回転寿司、定食、居酒屋など多様なポートフォリオを構築しています。
年収が比較的高水準である理由は、同社がグループ全体の経営戦略策定や管理機能を担う「純粋持株会社」だからです。
提出会社の従業員は100名程度と少数精鋭で、主に経験豊富な管理職や専門職で構成されているため、多くの店舗スタッフを抱える事業会社よりも平均給与が高くなる傾向にあります。
株式会社モスフードサービス

日本発のハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開する企業です。
「おいしさ」と「健康・安全」を追求し、注文を受けてから調理する「アフターオーダー方式」や、協力農家からの国産野菜調達など、質の高い商品力が最大の特徴です。
ビジネスモデルはフランチャイズ(FC)が主体で、国内店舗の約8割がFC店です。
本部は加盟店への食材卸売や経営指導(ロイヤリティ収入)を収益の柱としており、店舗運営に人手がかかる直営中心の企業に比べ、収益性が高く、従業員も管理・企画業務が中心となるため、給与水準が比較的高くなる傾向にあります。
2.ランキングの数字に騙されるな!「平均年収」のカラクリと正しい読み解き方
ランキング上位の金額を見て「飲食業界もこれほど稼げるのか」と期待して入社したものの、実際の給与明細を見て愕然とする。
そんなミスマッチが後を絶ちません。
実は、公開されている平均年収には「持株会社(ホールディングス)」特有の集計マジックが存在します。
しかし、このデータは無意味ではありません。
数字の裏側にある「企業の体力」や「将来性」を正しく読み解くことで、真の優良企業を見抜くための強力な判断材料となるのです。
「ホールディングス(持株会社)」平均の罠と実態
ランキングを見て「飲食でもこんなに貰えるのか!」と驚かれたかもしれません。
しかし、注意を促したいのは、「ホールディングス(HD)」という組織形態です。
有価証券報告書の「平均年収」は、主にHD本体に所属する少数の幹部候補や専門職の平均値であることが多いのです。
実際の店舗運営を行う事業会社の店長候補やエリアマネージャーの求人相場は、400万円~600万円程度がボリュームゾーンです。
ランキングの数字をそのまま現場の給与と混同しないよう注意が必要です。
ランキングから読み解く「稼げる企業」の条件
ランキングは「優良企業を見抜くツール」として活用できます。
まず、本社の給与が高いことは、グループ全体で利益が出ており、従業員へ還元する体力がある証明です。
賞与が安定して支給される可能性も高いでしょう。
また、将来的に現場から本社の「ホールディングス採用」や「本部管理職」を目指せるキャリアパスがあるかも重要です。
さらに、平均年齢が高く勤続年数が長い企業は、福利厚生が整い、長く働き続けられる環境である可能性が高いと推測できます。
これらを総合的に判断することが大切です。
3.【職種・ジャンル別】稼げる料理人はどこにいる?年収相場のリアル
年収を左右するのは企業選びだけではありません。
「職種」と「料理ジャンル」の選択が、自身の市場価値を劇的に変えます。
同じ調理技術でも、寿司やフレンチなど、どの市場で勝負するかで収入は倍増することもあります。
職種別の年収傾向と、高収入を実現するための具体的なキャリア戦略を解説します。
寿司職人:年収1000万への最短ルート
現在、飲食業界で最も「夢」がある職種は、寿司職人です。
国内でも400万円~800万円、海外なら1000万円~数千万円も珍しくありません。
これは世界的な日本食ブームに加え、カウンター越しにお客様と対峙する高度な接客技術が評価されるためです。
特にインバウンド需要の恩恵をダイレクトに受けるため、英語などの語学力を掛け合わせることで市場価値は跳ね上がります。
国内の名店で技術を磨き、海外オファーを狙うのが王道です。
フランス料理・イタリアン:技術とセンスで勝負する
洋食ジャンルは、コース料理の単価が高く、ワインなどのアルコール売上も見込めるため、利益率を確保しやすいビジネスモデルです。
年収相場は350万円~600万円ですが、シェフクラスではさらに高額になります。
キャリア戦略としては、調理技術に加え、ソムリエ資格(J.S.A.認定)の取得が有効です。
ワインの知識を持つことでサービスの幅が広がり、年収アップの強力な武器になります。
将来的なオーナーシェフとしての独立を目指す人にも適したフィールドです。
中華料理・ラーメン:独立志向と高回転ビジネス
大衆的なイメージがあるかもしれませんが、ビジネスとしての爆発力はトップクラスです。
ラーメン店は回転率が高く、少ないメニュー数で効率的にオペレーションを回せるため、利益が出やすい構造を持っています。
年収相場は300万円~500万円ですが、大手チェーンのSV(スーパーバイザー)職なら安定して高収入を狙えます。
また、独立開業のハードルが比較的低く、成功すれば多店舗展開で「年収数千万円」の経営者になれる可能性を秘めているのも大きな魅力です。
店長・マネージャー(管理職):40代の壁と昇進ルート
調理をしない「店舗運営のプロ」としてのキャリアです。
年収相場は400万円~650万円ですが、エリアマネージャー以上になれば700万円超も可能です。
数値管理(PL管理)や人材育成など、経営者に近いスキルが求められます。
ただし、現場の店長止まりだと体力的な問題もあり、40代で年収が頭打ちになる「40代の壁」が存在します。
年収を上げ続けるには、複数店舗を統括するポジションや、本部の商品開発、人事といった管理部門へのキャリアチェンジが不可欠です。
4.データで見る「飲食業界の現実」:なぜ給料が低いと言われるのか
夢のある話の一方で、厳しい現実も直視しなければなりません。
なぜ「飲食は稼げない」と言われるのか。
厚生労働省の統計データや社会保険労務士の実務的な視点から、その構造的な理由を解剖します。
データを正しく読み解くことは、キャリアの落とし穴を避け、着実に給料を上げていくための地図を持つことと同義です。
稼ぐ人と稼げない人の環境の違い
大手企業への就職が成功の鍵となります。
賞与・固定残業代・退職金制度の確認が大切です。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」が示す格差
厚生労働省のデータによると、「宿泊業,飲食サービス業」の賃金は全産業の中で低い水準にあります。
しかし、重要なのは「企業規模による格差」です。
小規模企業では30代以降賃金が頭打ちになる傾向がある一方、従業員1000人以上の大企業では50代に向けて賃金が上昇し続けます。
つまり、飲食業界で「安定して給料を上げたい」なら、統計的には「大手企業への就職」が正解です。
個人店での修行は技術習得には最適ですが、給与面では将来のための投資期間と捉える必要があるでしょう。
【人事労務の視点】給与明細に見えない「待遇」の違い
年収の額面だけでなく、実質的な待遇を見極める視点が重要です。
まず、国税庁の調査でも明らかですが、年収差の最大の要因は「賞与」です。
月給が低くても賞与がしっかり出る企業は年収が高くなります。
次に「固定残業代(みなし残業)」です。
提示額に何時間分の残業代が含まれているかを確認し、実際の時給換算での待遇を判断しましょう。
最後に「退職金制度」の有無です。
長く働くなら、退職金や確定拠出年金は老後の資金計画に直結する重要な要素となります。
5.飲食業界で「年収1000万円」を目指す4つのハイキャリア戦略
漫然と働いているだけでは、大幅な年収アップは望めません。
しかし、現在のトレンドや市場の変化を逆手に取り、戦略的に行動すれば「年収1000万円」は決して不可能な数字ではありません。
ここでは、キャリアコンサルタントの視点から、海外就職やインバウンド特化など、高収入を実現する4つの具体的なロードマップを提案します。
戦略1【海外移住】:円安×日本食ブームで外貨を稼ぐ
現在、最も確実に、かつ短期間で年収を倍増させる方法は「海外就職」です。
ニューヨークやドバイ等の主要都市では、寿司職人等の年収が1000万円を超える事例が多発しています。
日本の数倍の給与に加え、チップ収入だけで生活費を賄えるケースもあります。
必要なのは一定の調理技術と、最低限の語学力、そして就労ビザです。
ビザ要件は国により異なりますが、この「場所を変える」という選択だけで、あなたの技術の市場価値は劇的に向上します。
戦略2【インバウンド特化】:国内で「海外水準」の給与を得る
海外移住が難しい場合でも、国内で「外貨」を稼ぐ戦略があります。
それは、ニセコや白馬、東京・京都の高級ホテルなど、インバウンド(訪日外国人)に特化したエリアで働くことです。
顧客は富裕層の外国人が中心となるため、英語での接客能力や、ベジタリアン・ヴィーガン対応などのスキルがあれば、日本にいながら世界基準の高待遇を得ることが可能です。
語学力を磨くことが、そのまま年収アップに直結する有望なキャリアパスと言えます。
戦略3【大手チェーン役員】:現場からの叩き上げで経営層へ
最も堅実で長期的な安定が見込めるのは、大手チェーンでの出世ルートです。
ゼンショーやマクドナルド等のメガチェーンでは、現場出身者が役員まで昇進するパスが確立されています。
求められるのは、圧倒的なオペレーション構築力、予実管理能力(PL管理)、そして多数のスタッフを束ねるリーダーシップです。
店長からエリアマネージャー、そして本部部長へと昇進することで、有価証券報告書にあるような高水準の年収が現実のものとなります。
戦略4【独立開業・経営者】:リスクをマネジメントして成功する
「自分の城を持つ」ことは多くの飲食人の夢であり、成功すれば収入は青天井です。
しかし、廃業率も高いハイリスクな選択でもあります。
成功の鍵は「美味しい料理」以上に「利益が出る仕組み」を作ること。
原価管理や集客マーケティングなど、経営者としての視座が不可欠です。
最近では、初期投資を抑えた「キッチンカー」や「ゴーストレストラン」、既存店を引き継ぐ「事業承継」など、リスクを抑えた開業スタイルも増えています。
6.未経験からでも遅くない!異業種転職とキャリアチェンジ
「未経験だと低賃金でこき使われるのでは?」という不安を持つ方もいるでしょう。
しかし、現在は圧倒的な「売り手市場」。
異業種からの転職であっても、前職の経験を「ポータブルスキル」として適切にアピールすれば、好待遇での採用は十分に可能です。
未経験者が優良企業を見極め、採用を勝ち取るためのポイントを解説します。
未経験者がアピールすべき「ポータブルスキル」
飲食店の現場では、調理技術以外にも多くのスキルが必要です。
これらを「ポータブルスキル」として言語化しアピールしましょう。
例えば「営業経験」があれば、顧客ニーズを汲み取る力や提案力として店長業務に活かせます。
「事務・管理経験」は、計数管理やシフト作成など、店長業務の半分以上を占めるバックオフィス業務で即戦力となります。
「マネジメント経験」があれば、チームビルディングの観点で高く評価されます。
ホワイトな飲食企業を見極める3つの質問(面接対策)
ブラック企業を回避し、優良企業に入社するために、面接では以下の質問を投げかけてみてください。
1つ目は「店長の1日の平均スケジュール」を聞くこと。所定労働時間や休憩取得状況の実態が見えます。
2つ目は「繁忙期と閑散期の残業時間の差」。季節変動への対応体制を確認できます。
3つ目は「キャリアアップのための評価基準」。公平な制度や明確なパスがあるかを確認しましょう。
これらを質問することで、企業側の誠実さを見極めることができます。
7.退職・転職実務における法的知識とポイント
転職を考える際、避けて通れないのが退職手続きです。
「辞めさせてもらえない」「有給が使えない」といったトラブルを未然に防ぎ、スムーズに次のステップへ進むためには、正しい法知識が不可欠です。
社会保険労務士の視点から、損をしない退職の方法と、失業保険を賢く活用して生活を守るための基礎知識をお伝えします。
法律上あり得ない
賢く活用しよう
「辞めさせてもらえない」は法律上あり得ない
人手不足の業界ゆえに引き止めに遭うこともありますが、法的には「退職の意思表示から2週間」経過すれば退職は成立します(民法第627条第1項)。
会社の承諾は必須ではありません。
「退職願(合意の申込み)」ではなく「退職届(通告)」を提出すれば強力な効力を持ちます。
また、残った有給休暇の消化は労働者の権利であり、引継ぎを理由に拒否することは原則としてできません。
毅然とした対応が重要です。
失業保険(雇用保険)を賢く活用しよう
退職後すぐに次が決まっていなくても、「失業保険」を受給すれば生活を安定させて求職活動ができます。
「会社都合退職」(店舗閉鎖や長時間労働による退職等)なら、待期期間7日後にすぐ受給でき、給付日数も手厚くなります。
一方、「自己都合退職」では給付制限期間があります。
退職理由が会社都合に該当するのに自己都合とされた場合は、ハローワークへ異議を申し立てましょう。
8.あなたの市場価値を最大化するために
飲食業界の年収ランキング、職種別の現実、そして1000万円を目指すキャリア戦略について解説しました。
飲食業界は、キツイ・稼げないという側面がある一方で、実力次第で学歴に関係なく高収入を得られ、世界中で活躍できる可能性を秘めた魅力的な業界でもあります。
「平均年収」という数字に一喜一憂するのではなく、「どの職種で」「どの企業規模で」「どの場所(国・地域)で」働くかという戦略を持つことが、今後のキャリアを大きく変える鍵となります。
まずは、ご自身の現在のスキルや経験を「ポータブルスキル」として棚卸して、キャリアの市場価値を客観的に見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
一歩を踏み出すための参考となれば幸いです。

