飲食業界から営業職への転職を考えているけれど、「接客しか経験がないからアピールできることがない」「志望動機がうまく書けない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、飲食店の現場で培ったスキルは、営業職でも即戦力として高く評価される「宝の山」です。
大切なのは、それを採用担当者に伝わる言葉に「翻訳」することです。
本記事では、キャリアコンサルティングの理論に基づき、これまでの経験を有用な資産としてアピールする志望動機の書き方を徹底解説します。
そのまま使える例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 飲食経験を営業職で評価される「ポータブルスキル」に変換する方法
- 採用担当者に「会ってみたい」と思わせる志望動機の構成3ステップ
- 【パターン別】そのまま使える飲食・営業職の志望動機例文(NG例つき)
1.なぜ「飲食経験」は営業職の志望動機で武器になるのか?
志望動機で武器になるのか?
と
「察する力」
と
「マネジメント視点」
「飲食店でのアルバイトや社員経験は、営業職では役に立たないのでは?」
もしそう思っているなら、それは大きな誤解です。
外食産業の市場規模は回復傾向にあり、現場で培われた対応力は他業界でも高く評価されます。
飲食業で磨いた対人スキルは営業職と極めて親和性が高いのです。
接客で培った「コミュニケーション能力」と「察する力」
営業職の本質は、単にモノを売ることではなく「顧客の課題を解決すること」です。
飲食店で働いていると、お客様が何も言わなくても「お冷が欲しいのかな?」「お子様用の椅子が必要かな?」と察して行動することが当たり前になりますよね。
この「相手のニーズを先読みして動く力(察する力)」は、営業職において最も重要なスキルの一つです。

面接や書類では、「接客が得意です」と言うだけでなく、「お客様の様子から潜在的なニーズを汲み取り、先回りして提案する力があります」と伝えることで、一気に営業向きのスキルとして響くようになります。
店舗運営で身についた「数値感覚」と「マネジメント視点」
店長やリーダー経験がある方は、さらに強力な武器を持っています。
日々の売上管理、原価率の調整、アルバイトスタッフのシフト管理や教育、これらはすべてビジネスにおける「マネジメント能力」そのものです。
営業職も、「今月の目標数字を達成するために、いつまでに何件のアポイントが必要か」という逆算思考が求められます。

店舗運営で培った「数字への責任感」や「人を動かす力」は、特に法人営業や管理職候補として高く評価されるポイントです。
2.採用担当者に響く!志望動機作成の3ステップ
志望動機作成の3ステップ
「ポータブルスキル」
に変換する
「必然性」
を見つける
「貢献イメージ」
を具体的に伝える
では、具体的にどのように志望動機を組み立てればよいのでしょうか。
ここでは、キャリアのプロが使うフレームワークを元に、3つのステップで解説します。
ステップ1:過去の経験を「ポータブルスキル」に変換する
まず最初に行うべきは、自身の経験をどの業界でも通用する「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」に変換することです。
飲食業界の言葉を、ビジネス(営業)の言葉に翻訳するイメージです。
以下の表を参考にしてみてください。
| 飲食での経験(Before) | 営業でのアピール(After) |
|---|---|
| お客様に笑顔で接客した | 短時間で顧客と信頼関係を構築する力 |
| 常連さんを増やした | 顧客満足度を高め、リピート率を向上させる提案力 |
| 忙しいランチタイムを回した | マルチタスク処理能力と、状況に応じた優先順位の判断力 |
| 後輩に仕事を教えた | チーム全体の成果を最大化する人材育成・指導力 |
| クレーム対応をした | 困難な状況でも誠実に対応し、問題を解決する交渉力 |

このように言い換えるだけで、採用担当者はあなたが営業として活躍するイメージを持ちやすくなります。
ステップ2:その企業を選んだ「必然性」を見つける
「営業ならどの会社でもいい」と思われてしまうと、採用には至りません。
「なぜ、競合他社ではなく、この会社なのか」という理由が必要です。
企業理念への共感
「食を通じて幸せを届ける」という理念に、自身の接客経験を重ねる。
商品・サービスへの魅力
実際に自分が使って感動した経験や、自信を持って売りたいと思える理由。
これらを言語化し「自身の経験(Can)を活かして、御社のこの商品(Must)を広めたい(Will)」という一貫性のあるストーリーを作りましょう。
ステップ3:入社後の「貢献イメージ」を具体的に伝える
最後に最も重要なのが、「入社後にどう貢献できるか」を具体的に伝えることです。
企業は「勉強熱心な人」よりも「利益に貢献してくれる人」を求めています。

「未経験ですが、イチから勉強させていただきます」という姿勢ではなく、「飲食での〇〇の経験を活かし、早期に目標達成に貢献したいです」と、即戦力としての意識を見せることが重要です。
3.【パターン別】飲食・営業職の志望動機 例文集
志望動機 例文集
全く新しい分野を目指す場合
食の知識を活かす場合
意欲を強調する場合
ここからは、具体的なシチュエーション別の例文を紹介します。
これらをベースに、あなた自身のエピソード(具体的な数字や事実)を盛り込んでアレンジしてみてください。
【飲食→異業種営業】不動産・人材・IT営業を目指す場合
異業種への転職では、「なぜその業界なのか」という理由に加え、接客で培った「課題解決力」や「タフさ」をアピールするのが効果的です。
【志望動機 例文】
私は現在、カフェチェーンの店長として店舗運営に従事しております。
日々の接客の中で、お客様の潜在的なニーズを会話から引き出し、期待以上のサービスを提供することにやりがいを感じてまいりました。
この経験から、より深く顧客の人生や課題に関わる提案ができる不動産営業職に魅力を感じ、志望いたしました。
現職では、近隣の競合店分析に基づいた新メニューの提案を行い、昨対比で売上を120%向上させた経験があります。
この「分析力」と「行動力」、そして飲食業で培った「体力と精神力」を活かし、御社の営業目標達成に貢献したいと考えております。
【飲食→同業界営業】食品メーカー・卸売の営業を目指す場合
食品業界内でのキャリアチェンジは、最も親和性が高いパターンです。
「現場(ユーザー)の気持ちがわかる」という最大の強みを活かしましょう。
【志望動機 例文】
イタリアンレストランでの5年間のホール経験を通じ、御社のパスタソースがお客様に笑顔をもたらす瞬間を数多く見てまいりました。
現場で実際に商品を扱い、その品質の高さを肌で感じてきたからこそ、今度は「作る側・届ける側」として、この素晴らしい商品をより多くの飲食店に広めたいと強く思い、志望いたしました。
現場では、「どんなメニューがあれば使いやすいか」「どうすれば原価を抑えられるか」といった店舗側の悩みを熟知しております。
この「ユーザー視点」を活かし、単なる商品提案にとどまらず、取引先様の繁盛に貢献できる提案型営業を行いたいと考えております。
【未経験・第二新卒】ポテンシャルを強調する場合
経験が浅い場合は、素直さと学ぶ意欲、そして小さな成功体験を論理的に伝えることが大切です。
【志望動機 例文】
学生時代から続けている居酒屋でのアルバイト経験を通じて、「人と話すこと」だけでなく、「相手が求めていることを察して行動する」営業職の基礎を学びました。
特にお勧めメニューの提案では、お客様の好みを伺いながら提案することで、店舗内で月間売上1位を達成した経験があります。
この経験から、自分の提案で顧客に価値を感じてもらえる営業職を一生の仕事にしたいと考えるようになりました。
御社の「若手の挑戦を応援する」という社風のもと、持ち前の粘り強さを活かして、一日も早く戦力となれるよう尽力いたします。
4.書類通過率を下げるNGな志望動機の書き方
NGな志望動機の書き方
という受動的な姿勢
というネガティブな理由
せっかく良い経験をしていても、伝え方を間違えるとマイナス評価になってしまうことがあります。
ここでは、避けるべきNGパターンを解説します。
「勉強させていただきます」という受動的な姿勢
前述した通り、会社は学校ではありません。
「教えてもらう」という受け身の姿勢は、ビジネスパーソンとしての自立性を疑われてしまいます。

このように、「自ら学ぶ姿勢」と「貢献意欲」をセットで伝えましょう。
待遇面や「今の職場が嫌だから」というネガティブな理由
退職理由が「残業が多い」「休みが少ない」といった不満である場合、それをそのまま志望動機にするのは危険です。
「うちに来てもまた不満を言って辞めるのではないか?」と懸念されてしまうからです。
もちろん労働条件(固定残業代の有無や休日数など)を確認することは、法令遵守に課題のある企業を回避し、自分を守るために非常に重要です。
しかし、それはあくまで「自分が確認すべきこと」であり、志望動機としてアピールすることではありません。
ネガティブな理由は、以下のようにポジティブな言葉に変換しましょう。
「残業が多くて辛い」
「効率的に業務を行い、メリハリをつけて働ける環境で、より高いパフォーマンスを発揮したい」
「給料が安い」
「成果が正当に評価され、実力次第で収入アップを目指せる環境に身を置きたい」
5.飲食での経験はあなたの最大の強みになる
飲食業界で培った「ホスピタリティ」「観察眼」「数値管理能力」は、営業職においても極めて市場価値の高いスキルです。
大切なのは、自信を持ってその経験を語ることです。
「たかが飲食」と卑下せず、「この経験があったからこそ、御社で活躍できる」と胸を張って伝えてください。
自身の新しいキャリアへの挑戦が、素晴らしい結果につながることを願っています。

