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飲食未経験で正社員へ。年収実態とホワイト企業の見分け方

かつての飲食業界には過酷な労働環境というイメージが強くありました。

しかし、2026年現在、その実態は大きく変わりつつあります。

実は今、飲食業界は求職者にとって極めて有利な「売り手市場」であり、正しい知識を持って企業を選べば、未経験からでも年収アップやキャリア形成を実現できる絶好の好機といえます。

本記事では、感情論ではなく、「厚生労働省の統計データ」と「労働法の知識」に基づいて、飲食業界への転職のリアルと、失敗しない企業の選び方を徹底解説します。

この記事を読んでわかること
  • データで判明!飲食業界が今「未経験者」を熱烈に歓迎している理由
  • 正社員の年収実態と、店長・エリアマネージャー昇格後の給与推移
  • 「ブラック企業」を回避し、長く働ける「ホワイト企業」を見極めるための具体的チェックリスト

1.飲食業界がいま「未経験・正社員」を熱望する理由【市場分析】

飲食業界がいま「未経験・正社員」を熱望する理由【市場分析】
データが語る「人手不足」と「採用チャンス」の現状
有効求人倍率が高止まりし、企業が求職者を奪い合う「売り手市場」が到来。未経験者にも門戸が大きく開かれています。
実は「辞める人」より「入る人」が多い?入職超過率の真実
離職率の高さが注目されがちですが、実際は「入職者数」が「離職者数」を上回る「入職超過」の状態。業界の労働人口は拡大傾向にあります。
未経験者が評価される「ポータブルスキル」とは
調理技術だけでなく、異業種で培ったコミュニケーション能力や管理能力など、持ち運び可能な「ポータブルスキル」が即戦力として高く評価されます。

なぜ今、飲食業界はこれほどまでに未経験者を求めているのでしょうか。

その背景には、単なる人手不足以上の構造的な変化があります。

データが語る「人手不足」と「採用チャンス」の現状

飲食業界の有効求人倍率は、全産業平均と比較しても極めて高い水準で推移しています。

これは、求職者一人に対して複数の企業がオファーを出している状態、つまり「企業側が選ばれる立場」にあることを意味しています。

多くの企業が経験者採用だけにこだわらず、「未経験者を一から育てる」方針へと大きく舵を切っています。研修制度の充実や待遇改善が進んでいるのは、この人材獲得競争の結果なのです。

実は「辞める人」より「入る人」が多い?入職超過率の真実

「飲食は離職率が高いから、みんなすぐに辞めていくのでは?」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。

しかし、厚生労働省の「雇用動向調査」を詳しく分析すると、意外な事実が見えてきます。

宿泊業・飲食サービス業は確かに離職率も高いのですが、それ以上に「入職率(新しく入ってくる人の割合)」が高いのです。

「入職者数」から「離職者数」を引いた「入職超過率」はプラスとなっており、業界全体の労働人口は拡大傾向にあります。

これは、成長産業として多くの人が流入している証拠であり、「誰もが逃げ出している業界」という認識はデータ上、正しくありません。

参考|厚生労働省:雇用動向調査

未経験者が評価される「ポータブルスキル」とは

調理技術や接客スキルがない未経験者が、なぜ正社員として採用されるのでしょうか。

現代の飲食企業、特にチェーン展開している企業が求めているのは、高度な職人技よりも「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」です。

コミュニケーション能力

営業や販売で培った、顧客や同僚と円滑に関わる力

数値管理能力

売上目標の管理や、コスト意識

マネジメント能力

後輩の指導やチームをまとめた経験

これらは異業種で培った経験がそのまま活きるスキルです。

店舗運営は「小さな経営」であるため、ビジネスマンとしての基礎能力が高い未経験者は、即戦力候補として高く評価されます。

2.【データで見る】飲食正社員の年収・待遇のリアル【金銭・キャリア】

【データで見る】
飲食正社員の年収・待遇のリアル 【金銭・キャリア】
年代別・職種別の年収推移と昇給の仕組み
20代は他業種と同水準。30代以降は店長やマネージャーへの昇進により、年収が急上昇する実力主義の構造です。
ボーナスはある?
「固定残業代」の正しい理解
正社員なら賞与支給が一般的。「固定残業代」が含まれる場合は、時間数の妥当性と、超過分の支払いを必ず確認しましょう。
店長からその先へ。
広がるキャリアパス
現場でマネジメントを経験した後は、エリアマネージャー、商品開発、人事などの本部職、あるいは独立開業への道が開かれています。

次に、気になる「お金」の話について、客観的なデータをもとに見ていきましょう。

年代別・職種別の年収推移と昇給の仕組み

「飲食は給料が安い」と言われがちですが、正社員に限って言えば、必ずしもそうとは言い切れません。

20代のうちは、他業種と比較しても年収に大きな差はありません。

初任給ベースでは月給20〜25万円程度が一般的で、差がつくのは30代以降、役職に就いてからです。

飲食業界は実力主義の傾向が強く、学歴や年齢に関係なく、成果を出せば早期に昇進できます。

店長になれば年収400万〜500万円、さらに複数店舗を統括するエリアマネージャーやスーパーバイザーになれば年収600万〜800万円を目指すことも十分に可能です。

ボーナスはある?「固定残業代」の正しい理解

正社員雇用の大きなメリットは「賞与(ボーナス)」です。

大手チェーンなどでは、業績に応じて基本給の数ヶ月分が支給されるケースが多く、これが年収を押し上げる要因となります。

一方で、求人票を見る際に注意が必要なのが「固定残業代(みなし残業)」です。

これは「月◯時間分までの残業代をあらかじめ給与に含む」という制度です。

固定残業代が含まれていること自体は違法ではありませんが、「何時間分含まれているか」は必ず確認しましょう。

月45時間を超える設定(60時間や80時間など)の場合は、恒常的な長時間労働が前提となっている可能性が高いため注意が必要です。

店長からその先へ。広がるキャリアパス

飲食業界のキャリアは、現場だけではありません。

店長としてマネジメント経験を積んだ後は、以下のようなキャリアパスが広がっています。

本部職

商品開発、店舗開発、人事、マーケティングなど

スペシャリスト

ソムリエや料理長として技術を極める

独立開業

経営ノウハウを身につけ、自分の店を持つ

現場を知っているからこそできる本部業務や、経営視点を持った独立など、将来の選択肢は多岐にわたります。

3.「きつい」を回避する!ホワイト企業の見極め方【法務・労務】

法務・労務の視点

「きつい」を回避する!
ホワイト企業の見極め方
離職率の数字に
騙されないための視点
業界全体の数字ではなく「正社員」の離職率に着目しましょう。パートを含まない数値は意外と安定しているケースがあります。
ブラック企業を避ける
「求人票チェックリスト」
年間休日数(105日以上推奨)、社会保険の完備、そして固定残業代の条件。これらを事前に確認することでリスクを回避できます。
転勤なしも可能?
「多様な正社員」制度
「勤務地限定」や「職務限定」など、ライフスタイルに合わせた新しい正社員の働き方を選ぶことで、無理なくキャリアを築けます。

長く働き続けるためには、労働環境の良い「ホワイト企業」を選ぶことが不可欠です。

労働法規や労務管理の実務に基づき、見るべきポイントを解説します。

離職率の数字に騙されないための視点

先ほど触れた「離職率」ですが、ここにはカラクリがあります。

飲食業界全体の離職率は20%後半と高めに出ますが、これは学生アルバイトの卒業なども含んだ数字です。

実は、「一般労働者(正社員)」に限った離職率は18%程度まで下がります。

これは生活関連サービス業(約20.8%)と比較しても低い水準であり、決して突出して高い数字ではありません。

「みんなすぐに辞める」というのはパート・アルバイトを含んだイメージであり、正社員として腰を据えて働く環境は、皆さんが思っている以上に安定している企業が多いのです。

ブラック企業を避ける「求人票チェックリスト」

失敗しない企業選びのために、求人票や面接で必ず確認したいポイントをまとめました。

年間休日数

目安は105日以上、理想は115日〜120日です。

完全週休2日制(毎週必ず2日休み)か、週休2日制(月に1回以上2日休みがある週がある)かの違いもよく確認しましょう。

社会保険の完備

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険。これらが完備されていることは正社員として最低限の条件です。

福利厚生

家族手当、住宅手当、退職金制度の有無などは、企業が従業員を大切にしているかのバロメーターになります。

研修制度の有無

「OJTのみ(現場で見て覚えろ)」ではなく、座学や研修期間が設けられている企業は、未経験者を育てる余裕と意欲があります。

転勤なしも可能?「多様な正社員」制度の活用

「正社員になりたいけど、転勤はしたくない」「親の介護があるから長時間残業はできない」
そんな方におすすめなのが、厚生労働省も普及を推進している「多様な正社員」制度です。

勤務地限定正社員

転居を伴う転勤がない(地域限定社員)

職務限定正社員

ジョブローテーションがなく、特定の職務(調理のみなど)に従事する

勤務時間限定正社員

フルタイムよりも短い労働時間で正社員としての身分が保証される

近年、大手チェーンを中心にこうした制度を導入する企業が増えています。

自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるか、面接時に確認してみることをお勧めします。

4.未経験からの転職を成功させる具体的ステップ【実践ガイド】

実践ガイド
未経験からの転職を
成功させる具体的ステップ
1
自分に合うのは?
「ホール」と「キッチン」
まずは適性を分析。人と話すのが好きならホール、モノづくりに没頭したいならキッチンと、自分のタイプを見極めましょう。
2
転職エージェントを
「防波堤」として活用
エージェントはブラック企業を排除するフィルターになります。内部情報を聞き出し、不利な条件を回避するための盾として活用しましょう。
3
面接でのアピールは
「熱意」と「経験の変換」
単なる「やる気」だけでなく、前職のスキルをどう飲食業で活かせるか(経験の変換)を論理的に伝え、即戦力性をアピールします。

最後に、未経験から飲食業界への転職を成功させるための具体的なステップをご紹介します。

自分に合うのは?「ホール」と「キッチン」の適性

まずは、自分がどちらの職種に向いているかを考えてみましょう。

【ホールスタッフ(接客)】

人と接することが好きな方、変化を楽しめる方に向いています。お客様の反応がダイレクトに返ってくるやりがいがあります。

キャリアパスとしては、店長やエリアマネージャーなど、組織のマネジメントへ進みやすい傾向があります。

【キッチンスタッフ(調理)】

モノづくりが好きな方、一つのことに集中して取り組みたい方に向いています。

調理技術という「手に職」がつくため、将来的な独立や、より専門性の高い店への転職に有利です。

転職エージェントを「防波堤」として活用する

未経験者が自力でホワイト企業を見極めるのは簡単ではありません。

そこでおすすめなのが、飲食業界に特化した転職エージェントの活用です。

エージェントは、求人票には載っていない「実際の残業時間」や「職場の雰囲気」、「離職率」などの内部情報を持っています。

彼らを間に挟むことで、ブラック企業を事前にフィルタリング(排除)してもらうことができます。

面接でアピールすべきことは「熱意」と「経験の変換」

面接では、「未経験ですが頑張ります」という熱意だけでは不十分です。

前職での経験を、飲食業でどう活かせるか(ポータブルスキル)に変換して伝えましょう。

面接官は入社後に店舗で活躍する姿を具体的にイメージできるようになります。

5.飲食業界は今がチャンス。賢い企業選びで理想のキャリアを

飲食業界は今、大きな変革期を迎えています。

「きつい・厳しい」という過去のイメージにとらわれず、客観的なデータと労働法の知識を持って企業を選べば、未経験からでも正社員として安定したキャリアを築くことは十分に可能です。

特に現在は「売り手市場」であり、求職者が企業を選ぶことができる立場にあります。

ぜひ、本記事で紹介した視点を持って、自身の価値観に合致した「ホワイト企業」を見つけてください。

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