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飲食調理の正社員はきつい?給料の現実とホワイト企業の選び方

現在の飲食業界は深刻な人手不足により、求職者が有利な「売り手市場」となっています。

しかし、だからといってどこでも良いわけではありません。

倒産件数が過去最多を更新するなど、経営が不安定な店があるのも事実です。

本記事では、労働法規や業界の実情に基づき、イメージ先行ではない「仕事のリアル」と、法的に正しい「ホワイト企業の見極め方」をわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 飲食店の調理正社員の具体的な仕事内容と1日の流れ
  • 「きつい」と言われる理由の裏にある労働実態と給与相場
  • 法律の知識を使って「ホワイト企業」を見極める具体的なチェックポイント

1.飲食店の調理正社員(キッチンスタッフ)の仕事内容とは?

「調理スタッフ」といっても、その業務は単に料理を作るだけではありません。

1日の業務の流れ:仕込みから片付けまで

一般的なレストラン(ランチ・ディナー営業あり)の正社員スタッフの1日は、以下のようなスケジュールで進みます。

1日の業務の流れ:仕込みから片付けまで
出勤・仕込み
営業開始の数時間前に出勤し、食材のカットや下味付け、ソースの準備などを行います。ランチ営業のピークをスムーズに回すための最も重要な準備時間です。
ランチ営業
注文に合わせてスピーディーに調理・盛り付けを行います。戦場のような忙しさですが、チームワークが試される時間帯です。
休憩・発注業務
ランチ終了後に休憩を取ります。この間に食材の在庫確認や発注、ディナーの準備を行うこともあります。
ディナー営業
ランチよりも客単価が高くなることが多く、より丁寧な盛り付けや複雑な調理技術が求められます。
締め作業・清掃
調理器具の洗浄、厨房全体の清掃、翌日の仕込み確認を行い、業務終了です。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)のデータによると、調理人の業務実施率において「調理器具や食器を洗う」「調理場の清掃・消毒」はほぼ100%実施されています。

料理を作る華やかなイメージだけでなく、衛生管理という地道な作業もプロとしての重要な仕事です。

参考|厚生労働省:職業情報提供サイト

業態やポジションによる役割の違い

働く場所によっても求められる役割は変わります。

個人の専門店(イタリアン、和食など)

シェフや親方との距離が近く、高度な調理技術を直接学べます。

その分、修行のような厳しさがある場合もあります。

大手チェーン店・ファミレス

マニュアルが完備されており、未経験でもスタートしやすい環境です。

調理技術よりも、パート・アルバイトの管理などマネジメント業務の比重が高くなる傾向があります。

給食施設・病院

栄養士が作成した献立に基づき、大量調理を行います。

勤務時間が規則的で、土日休みが取りやすいのが特徴です。

2.飲食店の調理職は「きつい」?現場のリアルとデメリット

飲食店の調理職は「きつい」?
現場のリアルとデメリット
体力的な負担と
労働時間の長さ
人手不足による
現場へのしわ寄せ

「飲食店はきつい」というイメージは根強いですが、具体的に何が大変なのかを理解しておくことで、入社後のミスマッチ(リアリティ・ショック)を防ぐことができます。

体力的な負担と労働時間の長さ

調理職は基本的に立ち仕事です。

重い寸胴鍋(ずんどうなべ)を運ぶ、高温の火のそばで動き回るなど、かなりの体力を消耗します。

また、世間が休日となる土日祝日やゴールデンウィークこそが書き入れ時となるため、友人や家族と休みを合わせにくいという側面もあります。

人手不足による現場へのしわ寄せ

現在、外食産業は回復基調にありますが、現場の人手不足は深刻です。

帝国データバンクの調査によると、飲食店の正社員人手不足割合は51.0%(2024年4月時点)と高止まりしています。

人が足りない店舗では、一人当たりの業務量が増え、長時間労働や「ワンオペ」が発生しやすくなり、これが「きつい」と感じる最大の要因となっています。

参考|帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)

3.それでも選ばれる理由:調理正社員のメリットとやりがい

それでも選ばれる理由
調理正社員のメリットとやりがい
手に職がつき
将来の独立も目指せる
お客様の反応が
ダイレクトに返ってくる喜び

厳しい側面がある一方で、調理の仕事には他の職種にはない大きな魅力もあります。

手に職がつき、将来の独立も目指せる

包丁技術、火加減、食材の目利きといったスキルは、一度身につければ一生使える「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」です。

会社が倒産しても、腕一本で渡り歩いていける強さがあります。

また、将来的に「自分の店を持ちたい」という夢を持つ人にとっては、給料をもらいながら経営ノウハウや調理技術を学べる、またとない修行の場となります。

お客様の反応がダイレクトに返ってくる喜び

オープンキッチンのお店などでは、自分が作った料理を食べたお客様の「美味しい!」という笑顔や言葉を直接受け取ることができます。

自分の仕事が誰かを喜ばせているという実感は、何物にも代えがたいモチベーションの源泉となります。

4.飲食店の調理正社員の給料・年収相場

飲食店の調理正社員の給料・年収相場
平均年収と
年齢別の推移
未経験スタート時の
月給目安

生活をしていく上で気になるお金の話についても、客観的なデータを見てみましょう。

平均年収と年齢別の推移

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、西洋料理調理人の平均年収は約369.5万円、平均年齢は45.2歳となっています。

これは全産業平均と比較するとやや低めの水準ですが、経験を積んで料理長(シェフ)やエリアマネージャーに昇進したり、独立して成功したりすることで、年収600万円以上を目指すことも十分に可能です。

参考|厚生労働省:職業情報提供サイト 西洋料理調理人(コック)

未経験スタート時の月給目安

最近では人手不足を背景に、待遇改善が進んでいます。

都心の求人では、未経験者であっても「月給25万円~30万円スタート」という好条件の募集が増えてきています。

ただし、この金額に「固定残業代」が含まれているかどうかは必ず確認が必要です。

5.未経験から調理正社員になるには?資格は必要?

「調理師免許がないと働けないのでは?」と心配される方もいますが、法的には必須ではありません。

「調理師免許」は必須ではないが有利

飲食店で調理をするために、必ずしも免許は必要ありません。

無資格でも「調理スタッフ」として働くことは可能です。

しかし、「調理師」と名乗ることができるのは、国家資格である調理師免許を持っている人だけです。

免許を持っていると、以下のようなメリットがあります。

調理師免許のメリット

  • 調理技術や衛生知識の証明になり、採用で有利になる
  • 資格手当がつく場合がある
  • 店舗に必置の「食品衛生責任者」の資格講習が免除される

未経験で入社し、実務経験を2年以上積んでから調理師試験に挑戦する、というキャリアパスが一般的です。

6.後悔しないための「企業選び」の法務・労務チェックポイント

最後に、労働法規や人事労務管理の実務の観点から、入社してはいけない「ブラック企業」を避け、安心して働ける「ホワイト企業」を見極めるためのチェックポイントをお伝えします。

求人票の「固定残業代」と「休日数」の見方

給与額の高さだけで飛びつくのは危険です。

求人票の以下の項目を必ず確認してください。

固定残業代(みなし残業代)

「月給30万円(固定残業代45時間分を含む)」のように書かれている場合、基本給はもっと低いケースがあります。

また、45時間を超える残業時間が常態化しているリスクもあります。

休日数

「週休2日制」と「完全週休2日制」は違います。

「週休2日制」は「月に1回以上、週2日の休みがある」という意味で、それ以外の週は休みが1日だけかもしれません。

「年間休日105日以上」を目安に探すのがおすすめです。

社会保険の完備

雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金への加入は、法人の義務です。

「試用期間中は未加入」などと言う企業は避けましょう。

経営基盤と店舗の雰囲気をチェックする重要性

帝国データバンクの「飲食店の倒産動向調査(2024年)」によると、2024年の飲食店倒産件数は894件と過去最多を更新しています。

長く働くためには、企業の安定性も重要です。

可能であれば応募前にお客さんとしてお店に行ってみましょう。

「スタッフが疲弊していないか」「店内が清潔か(清掃が行き届いているか)」を確認するだけでも、その店が従業員を大切にしているかどうかの大きな判断材料になります。

参考|帝国データバンク:飲食店の倒産動向調査(2024年)

7.飲食店の調理正社員に関するよくある質問(FAQ)

40代・50代の未経験でも調理正社員になれますか?

可能です。

前述の通り調理人の平均年齢は45歳前後と高く、年齢よりもやる気や体力が重視される傾向にあります。

特に人生経験豊富な中高年は、接客やチームワークの面で重宝されるケースも多いです。

髪型や服装に決まりはありますか?

衛生管理の観点から、清潔感が第一に求められます。

長い髪はまとめる、爪は短く切るなどが基本です。

ただし、最近では個性を尊重し、髪色などを自由にする店舗も増えてきています。

面接時や店舗見学時に確認すると良いでしょう。

8.情報を武器に、長く働ける職場を選ぼう

飲食店の調理正社員は、体力的にハードな面もありますが、お客様の喜びを直接感じられ、確かな技術が身につくやりがいのある仕事です。

大切なのは、「きつそうだからやめる」と諦めることでも、何も考えずに飛び込むことでもありません。

労働環境の実態や法律の知識を「判断基準」として持ち、自分が納得して働ける環境を主体的に選ぶことです。

しっかりとした情報収集と準備を行えば、自身のキャリアを築くための確かな一歩となるでしょう。

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